心理カウンセラーという専門家が、
陥りやすいワナがあります。
それが、専門的な知識への過信。
うまくいっていないことが続く「膠着状態」なのに、
なまじ専門的な立場にあると自覚していると、「そのやり方でなくてはダメだ」と
自分のやり方をじゅうぶんに検証せずに、知識にすがるということがあります。
まさに「頭でっかち」。
持っている知識としては正しくても、
膠着状態なら、今までのやり方を反省して
やり方を工夫したり、何か違った手をうってみるべきでしょう。
正しい知識は、有用な武器になりますが、
それだけになってしまうことは、避けたいですね。
もしも、あなたの前に
「あなたのことは全てわかっていますから、こうしてください」なんて
専門家然としたカウンセラーが現れたら?
「一体、私の何が分かるの?」と反発したくなるものです。
よっぽど弱気になっていれば、すがりたくなるかもしれませんが。
でもそれは、一時的なことでしょうね。
心理カウンセラーは、クライエントのご家族や友人ではありません。
クライエントの一生をずっと付き添うことはできません。
ならば、依存させる関わり方よりも、
目の前のクライエントのもつ、
できていること、うまくいっていることに
目を向けていきたいのです。
そして、この「できていること、うまくいっていること」とは
個別具体的なことのなかに見つけられます。
つまり「人それぞれ」だ、ということ。
ここに至ると、重要なのが
「クライエントが気づいていく」ためのサポート姿勢。
例えば、リストカットなど自傷行為の話題が出たとき。
知識として「自殺の意図のない自傷行為の水準」をもつだけではなく、
そのクライエントの自傷行為が、
どの程度のものなのか判断した上で、
その行為が、クライエントにとって意味があるものだとじゅうぶんに汲みつつ、
それをしないで済んでいる例外に、クライエント自身が気づけるよう、
尻込みせずに具体的に話していく姿勢が求められます。
そうしたサポート姿勢には、
・「クライエントには解決のための力がある」と信頼する覚悟
・クライエントの反応を確かめながら対応する柔軟性
などの心理カウンセラーとしての力量が問われます。
有益なサポートには、知識は重要です。
ですが、
「専門的に学んだから、これが正しい」と
知識を振り回す「頭でっかちな」関わりは、
むしろ有害になります。
もしもあなたが
「頭では分かっているんだけれど、難しいな」と感じていたなら、
それは心理カウンセラーにとって、たいへん有意義な感覚です。
だって「そこからがスタート」ですから。
専門的な知識は、
「目の前のクライエントにどう関わったらいいのか」につなげる
カウンセラーのための武器にしましょう。
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